Woven Basic(富士通株式会社 山内様)
Woven Basic実践事例
富士通株式会社 官公庁本部のSEである山内様にWoven Basic(マネジュク)を受講したお話をお聞きしました。アジャイル的な組織に変わるための基礎知識と行動原則を体得する個人向けマネジメントプログラム「Woven Basic」を、3ヶ月で計6回(3時間/回)受講いただいた感想をお伺いしました。
全6回を受講いただきましたが、3ヶ月という期間は長かったですか?
むしろ短く感じましたし、充実した時間を過ごせました。ただ、私はまだ2年目という立場なので、この1~2年で経験してきたこととの比較になってしまうのですが、今まで見てきたことや感じてきたことと、ベクトルが全く異なることをプログラムで経験するため、最初の1、2回のプログラムは少し長く感じたなというのが正直なところです。
正味・付帯・ムダのという考え方を知っていましたか?
“耳にしたことはある”というレベルでした。具体的に「正味はこういうもので、付帯はこういうもの」と考えたのは今回が初めての経験でした。そのため、考え方を知っていたかと問われれば、あまり知らなかった、という回答になると思います。
実際に考え方を知って何か見えてきたものはありましたか?
まず、正味と付帯からお話しすると、一つの仕事に取り組む中で、価値を提供する作業とそうではない作業を分けることによって、正味を増やして付帯を減らさなければと意識するようになりました。その意識づけをした結果、正味を増やすために働き方を変えるべき部分や、効率化すべき部分が見えてきたと思います。
また、ムダに関しては、ひとくくりに“ムダ”といっても、その中にもいろいろな考え方があるということを知りました。今までは、この作業は必要なので仕方ないと思っていた部分がありました。例えば、待ちの時間なども、作業の過程でどうしても発生してしまうものだと思っていたのですが、細かく分類していくことによって、これまで見えていなかった“本当にムダなこと”が見えるようになってきたと感じています。
SEはWBSに従ってやることは大体決まっていると思うのですが、そのWBSに書いてあることはすべて正味作業だと今までは思っていたのではないでしょうか?
おっしゃる通りです。このとおりにやっておけば完璧だし、そうすることが正しい、とこれまでは思い込んでいた部分がありました。もしマネジュクを受講していなかったら、今後もそうしていただろうと思います。
正味付帯ムダの割合はどんな感じでしたか?
やはり、付帯が大きな割合を占めており、もう少し減らせると思っています。どうしても管理作業になってしまっている部分があり、本当にお客様に対して価値を提供するための実作業がまだできていないなっていう問題意識を持っていますが、その問題意識を持てていること自体が今回の受講を通じて成長した部分と感じています。今後の課題として、どうやって正味の作業を増やしていくかを自分なりに考えていく必要があると思っています。
やってみて気づいた点などを教えてください。
まず、世の中はムダが多い、ということですね。先輩たちが遅くまで残って仕事しているところを見て、今までは、すごいな、頑張っているな、と思っていたのですが、今は「あれ?実はムダな作業に時間をかけているのかな?」と思うようになりました。絶対に必要だと疑わなかったことを、疑えるようになったというのは大きな気づきの一つでした。
もう一つ、なぜなぜ分析やフィッシュボーン、5分表などで自分の行動を分析していく中で、自分自身の行動や作業に対して、今までは分析が全く足りていなかったと感じたことも気づきでしたし、単純に言われたことをやるだけの生活をしていたのだな、と改めて思いました。
私はマネジュクの中で、進捗資料の作成作業に時間がかかるという分析をしました。マネジュクに参加していなければ、これからも“時間がかかり面倒な作業だな”と思いながらズルズルとこの作業をやっていたと思いますが、一度立ち止まり分析してみることによって、いろいろな気づきを得ることができました。日頃から自己分析をすることの大切さや重要性に気づくことができたと思っています。
今までのマネジメントと異なる点はどんなところでしたか?
マネジメント経験はあまりないですが、少なくとも自分の肌で感じてきたことと比べると、上から下へとトップダウン式で指示が落ちてきて、下はそれに従うだけのピラミッド式のマネジメントが正しいと思っていました。リーダーに従わず下の人間が思うがままに自由に行動していたらまとまらない、という価値観を持っていました。
マネジュクで教えていただいたのは、上も下も自律的に仕事を回していく、という考え方で、今まで考えていたマネジメントとはまず根幹から全く異なりました。
前者のトップダウン式のマネジメントについては、会社でそのような研修を受けられたのでしょうか?
研修ではなく、仕事をしている中で周りの雰囲気からそう感じていました。アジャイルなどを取り入れようとしているので、会社としてももっと小さなサイクルで仕事を回していこうとしていますが、全体で見るとやはりトップダウン式なので、それが正なのだろうと思っていました。
海外では下が自律して仕事を回していくのが当たり前になっているということや、このような仕事の進め方は日本から始まったことなのに日本が遅れているという現状も知れましたし、グローバルにおけるマネジメントの標準的な考え方は今まで私が考えていたマネジメントと全く異なるものだと知れたのは大きかったです。
5分表をつけるのにどんなところが苦労しましたか?
一つは、表をつけるタイミングでした。業務が忙しすぎて5分ごとにExcelを開いて書き起こすということが出来なかったので、ある程度まとめて後で付けざるを得ませんでした。自分の記憶力との戦いという面もあり大変でした。
もう一つは、マネジュクの中での私自身の課題でもありましたが、5分表の項目の粒度にかなり苦労しました。ひとつの作業をするにあたっても、細かく分解していくとその中にも付帯やムダがあるというお話しが講義でもありましたが、自分の行動を細かく深堀して分類するという点が大変だった印象です。
最後に、自律的な仕事の仕方に関してどう思いますか?
あるべき姿だ、というのが正直なところです。単純な話になりますが、考える人は多い方がいいなと思っていて、会社の上の人たちがこれまでの経験に基づいた考えた方法だけで仕事を進めるよりも、今の現場に基づいた考え方であったり、現場で培われた経験だったりを含めた上で仕事を進めた方が絶対に良いし、理にかなっていると思いました。また、メンバーが自ら活発的に動いていく仕事の方が楽しいし正しいと思います。
前の質問でも少しでましたが、海外では自律的マネジメントがデフォルトになっているという話を聞き、これから日本企業が生き残っていくためにもこういう仕事のやり方が必要だと感じています。